患者を理解するための情報収集とは

患者の今の健康状態を把握するだけが看護師の仕事ではありません。入院生活や外来治療などで良質な医療を提供するとともに、治癒や回復を目指すためには患者自身の背景などを多角的に知る必要も生じます。これはアセスメントに重要な情報収集にも繋がります。

なぜ情報収集を行うのかといえば、「アプローチを変えるだけで、患者自身が前向きに治療と向き合える」といった点が挙げられます。しかし、これだけでは満点の解答とは言えません。一番の目的は、治療と並行した日常の生活で悪い影響を与える可能性がある問題点を洗い出し、患者とともに整理することが目的となります。アレルギーの有無や病歴、投薬の履歴などは医療過誤を防ぐために必要な情報です。それ以外にも、年齢や職業といった基本となる情報のほか家庭環境、経済状況などを把握する必要があります。患者の年齢や状況に応じて、治療方針の決定にかかわってくるキーパーソンとなる家族の把握や、要介護度、歩行や自立の状況なども把握することが求められます。これらの情報は治療方針や看護計画のために使われるほか、入院生活における食事提供や薬剤提供にも反映されます。

カルテなどの資料収集や患者自身や家族との面談、患者の行動を観察した結果なども併せて情報収集をしていきましょう。治療過程における薬剤師や栄養士などから得られる情報も蓄積していくこともポイントです。注意すべきは、主観を入れず客観的な情報のみを共有することです。主観が入ることで、先入観ありきの治療となってしまうため、患者にとって悪い方向へ向かうことも考えられるからです。情報を共有し看護師同士で話し合うことなども取り入れていきましょう。